ゴールデン・レトリーバーはがっしりとしてバランスの取れた体格、金色の美しい被毛が特徴的な大型犬です。
尻尾は太く長いので、とても力強く振り回して感情を表現してくれます。
茶色い瞳とたれ耳で、リラックスした表情には癒しを感じます。
友好的な性格と頭が良いためしつけもしやすく、非常に家庭犬に向いている犬です。
ラブラドール・レトリーバーと並んで世界的に人気のある犬種です。
オス | メス |
体高 56~61cm | 体高 51~56cm |
体重 30~36kg | 体重 27~33kg |
レトリーバーとは?
19世紀半ば(1850年あたり)のヨーロッパは産業革命の真っ只中で、鉄道が各地に広まりロンドンに地下鉄が開通しました。
このころのイギリスやスコットランドでは、産業革命により近代化で食料生産力が向上し、鳥狩猟は食料確保ではなく、娯楽として盛んになりました。
狩猟のさい、撃ち落とした水鳥を取りに行く必要があります。
その手間を省くため、仕留めた獲物を回収する犬の必要性が高くなりました。
そのため多くの犬種が生み出されました。
「retriever」=回収する者
犬種名にレトリーバーが付く犬は「ガン・ドッグ」と言われる鳥用の狩猟犬です。
ゴールデンレトリーバー誕生の歴史
ゴールデンレトリーバーが生まれたのは、スコットランドのツィードマウス卿の反抗心からと言われています。
ゴールデンレトリーバーのルーツには多くの犬種が存在しています。
- ウォータースパニエル
- カーリーコーテッドレトリーバー
- セター
これらの犬種はどれも狩猟に適した犬種ですが、これらの犬たちをかけ合わせてつくられたといわれています。
1800年代終わりにはこのように考えられていました。
「レトリーバーは黒であるべきだ」
そのため、黄色系の犬は狩猟犬として繁殖に使われませんでした。
しかし、ツィードウス卿は「黄色い犬のどこが悪い」とあえて黄色い犬をブリーディング計画に入れました。
当時の狩猟犬であった茶色い巻き毛の犬種ツィード・ウォーター・ スパニエルと交配させて、1865年に購入したウェービー・コーテッド・レトリーバーから生まれた黄色の子犬が始祖となったといわれています。
ゴールデンレトリーバーは、撃ち落とされた鳥を水の中に入って回収するため、地上でも冷たい水の中でも活動できるように長い被毛に覆われ、浮力と体温の維持ができるようになっています。
また、十分な体力と体格を持ち合わせた優秀なレトリーバーです。
公認犬種となる
1913年にゴールデン・レトリーバーはイギリスの公認犬種となった。
当時はまだイエロー・レトリーバーまたはゴールデン・レトリーバーと呼ばれていたが、1920年にゴールデン・レトリーバーの名称に統一された。
現在はアメリカで最も人気の高い犬種のひとつとなっています。
性格
ゴールデンレトリーバーは猟犬ですが、他の猟犬とは違い撃ち落とした鳥を回収する役目を担っていました。
そのため、獲物を噛みつぶさないように攻撃性は極めて低く、鳥が驚くことがないように無駄にほえたりしない特徴があります。
猟犬として持っている能力が、家庭犬としても非常に役立っています。
友好的
ゴールデンレトリーバーの大きな魅力のひとつ、 おおらかで優しい性格が万人に愛される理由となっています。
とても大人しく、人間が大好き、誰にでも友好的で陽気に明るく振る舞います。
そのため子供や他の同居犬に対してもとても寛容で、一緒に遊んでくれることに幸せを感じます。
人や他の犬とトラブルを起こすことはほとんどないでしょう。
精神面も非常に安定しており、嫌なことや怒られたことがあってもすぐに切り替え、楽しいことに夢中になります。
噛んだり、無駄に吠えたりしないので家庭犬として向いていますが、友好的すぎるので、番犬としては向いていません。
賢くて覚えが良い
元々猟犬として開発された犬のため、従順で、賢く訓練しやすい特徴があります。
猟犬としての能力は
- 鼻を利かせて獲物を探す
- 獲物の落ちたところを覚えておく
などの高い能力が必要ですが、それ以外にも手順や指示を学習する能力や狩猟でも集中力、人間との協調性が必要となります。
これらの特徴を生かすことで
- 盲導犬
- 介助犬
- 警察犬
- 災害救助犬
などさまざま方面でその利用されています。
また、高い潜在能力はフリスビーやアジリティなどをこなすこともできます。
水遊びが大好き
ゴールデンレトリーバーは水が大好きです。
そのため、水辺で遊ぶと飼い主の制止も聞かずに、水に飛び込んでしまうでしょう。
泳ぐのはストレス発散にもなります。
水辺近くに出かける場合には、バスタオルなどを用意していきましょう。
仔犬の選び方
体全体ががっしりしていて、耳が小さく、尾は後ろ足の関節のところまである長いものを選びます。
輝くようなゴールドの被毛はこの犬の魅力ですが、仔犬の頃は毛色が薄く、1年近くたってから親犬のような濃いゴールドになります。
過剰な繁殖の結果、股関節に異常があったり、攻撃性の強い犬が存在します。
ゴールデンレトリバーの攻撃性?
本来のゴールデンレトリバーは狩猟の際に回収した水鳥を傷つけないため、精神が安定しており興奮しにくく、防衛心があまりないので攻撃性が低いという特徴を持った犬種です。
しかし、ゴールデンレトリバーの攻撃性が話題になることがあります。
交配と気質
これに対して考えられるのは、いい加減な繁殖によって犬の気質を考慮しないで交配がおこなわれた可能性があります。
性格や気質は遺伝するため、攻撃性の高い気質の親を持つ場合遺伝する可能性は高くなります。
本来は繁殖に使わないのが正しい選択ですが、儲けのためやブリーダーがいい加減だったりするとこのような結果が生まれます。
子犬の地点で私たち飼い主が気質を見分けることは不可能です。
信頼できるブリーダーから犬を飼うようにすることがとても重要といえるでしょう。
甘やかせすぎ
ゴールデンレトリバーはとても優しい犬です。
そのままでも良い犬ですが、家族の接し方や育て方に問題がある場合もあります。
犬は成長期に社会化を勉強します。
他の犬と触れ合ったり、多くの人と出会うことでコミュニケーション能力を得ることができ、子犬の頃の多く経験が落ち着いた精神を作ります。
成長するときに社会化を一切おこなわれなかった場合に、問題が起こることがあります
また、大人しく優しいからといって、子供にいたずらをさせ放題にするのも良くありません。
さすがに犬でもストレスを感じ、怒ることは考えられます。
この場合は犬の攻撃性とは言えず、飼い主さんに問題があることは明白です。
愛犬とは正しい関係性を築くようにしましょう。
長生きの秘訣
ゴールデンレトリバーのような大型犬は、小型犬よりも寿命が短く、私たちが思っているよりも早くその時が訪れます。
大型犬は体の大きさのわりに心臓や肺などの臓器が小さいため、負担がどうしても大きくなります。
また、大きな体を維持するため、細胞分裂がたくさん起こりますが、細胞の分裂回数には限界があるためにどうしても寿命が短くなります。
平均寿命は11~14歳と言われています。
しかし、環境などで寿命は大きく変化します。
ラブラドールのミックス犬では長寿のギネス記録が残っており、27年以上生きたと記されています。
お散歩や食事の量を注意して肥満を予防したり、避妊や去勢などを済ませるなど上手に生活環境を整えてあげれば寿命は長くなるでしょう。
かかりやすい病気
- 股関節形成不全症
- 甲状腺機能低下症
- 白内障
- 心筋症
- 胃捻転
- アトピー性皮膚炎
- リンパ腫
- 重症筋無力症
- 特発性てんかん
原因の多くが遺伝性の疾患ですが、成長期の運動や栄養状態も原因のひとつとなります。
股関節
特に股関節形成不全症などは、股関節が正常に作られないので、歩行障害などの症状が起こるようになります。
成長期の骨格作りの時期に過度な運動をさせないことや滑る床を歩かせるなど、負担を避けたり、肥満にさせないことが大切です。
また、急激に成長する大型犬の特徴から、栄養不足も注意が必要です。
胃捻転
大型犬では胃捻転がよく見られます。
食後すぐに、運動すると胃がねじれて内容物が腸へ進まなくなり、胃がガスで膨れ上がります。
最悪死亡するので注意しましょう。
まとめ
ゴールデンレトリーバーは家庭犬としてとても理想的な犬種です。
特に家族みんなで接してお世話をして、ともに生活するというスタイルが合っています。
子供にも優しく、猫や先輩犬、鳥が一緒に暮らしている環境でも上手くやっていくことができるでしょう。
優しくて、陽気な性格は飼い主さんに明るい気持ちを与えてくれます。
被毛は結構抜ける方なので、ブラッシングやシャンプーなどはこまめに行うほうが良いでしょう。
日々のお手入れで、サラサラの毛並みを保つことができます。
子犬を受け入れる場合には、後々苦労しないように、信頼できるブリーダーから購入することが大切です。
また、犬は意外と病気になるので、ペット保険に入っておくのも良い選択です。