犬は本来群れで生活して、集団で狩りをするスタイルをとっていたタイプの動物です。
そのため、仲間たちとしっかりとした関係を保てるように、コミュニケーションをとることが必須となっています。
そうしなければ群れの中で、生きていけないからです。
仔犬の育ち方
犬は生まれる一緒にいる兄弟やと母犬と接して育ち、遊び方やコミュニケーションの取り方を身につけます。
また、群れ(この場合家族)の中にいる大人の犬に接することで、群れでの自分の立ち位置、リーダーに対する態度など、人間関係ならぬ、犬関係を円滑にするための方法を身に付けていきます。
どんな犬でも、本来は群れでうまくやっていける能力を持った生き物のはずです。
この能力が社会性です。
社会性を身につけられていない場合がある
社会性が必要なのは狩りだけではありません。
現代社会で暮らす犬においても社会性は必要です。
- 飼い主さん
- 同居犬
- 他人
- 外で出会う犬
- 家に来るお客さん
このような多くの人や犬と出会い接する機会は数多くあります。
ですが、このような状況に対して社会性に問題がある犬は多くいます。
その理由が大きく二つ考えられます。
ひとりで育った
あなたの愛犬が情緒不安定などから問題行動を起こしているようなら、それは経験不足が原因かもしれません。
飼い犬の中には、生まれてすぐに親や兄弟と引き離されて、一匹で育ったという犬も珍しくはありません。
このようなタイプは他の犬との接し方がわかりません。
もちろん、他の犬の存在すら知らないので未知との遭遇になり、恐怖や好奇心などが入り混じり正しいコミュニケーションをとることが難しいのです。
あまり外に行っていない
外に出る機会はとても大切です。
外に出て、家族以外の人間と接することもなかった場合、刺激に対しての免疫ができていません。
家族以外と接したことのない犬は、他の人間や犬と出会ったときに恐怖心や警戒心を抱きます。
そのため、吠えたり攻撃したりします。
これは、社会勉強をする機会を与えられなかったため、出会ったときにどのような対応をするべきなのかわからないので、緊張から吠えてしまいます。
社会性が足らない犬となってしまったのです。
トラウマ
精神的な心の傷を抱えている場合、うまくコミュニケーションをとることができなくなります。
子犬時代に他の犬に攻撃されたことで、痛い思いや怖い思いをした経験のある犬はそれがトラウマとなっています。
そのため他の犬にたいして極端な恐怖心があり、恐れから吠えるようになっているということが考えらえます。
さらにこのときに飼い主が
「こら!」
「やめなさい!」
と怒ることでさらに不安と恐怖が増して、さらに吠えるという悪循環に陥ります。
社会性のある犬の場合
家族以外の人間と接していない犬は、他の人間や犬と出会ったときに警戒心と恐怖心を抱きます。
恐れから、吠えたり攻撃したりします。
これは知らない、何かわからないから、という理由から恐怖を感じるためです。
人間も未知のモノに恐れを感じるのと同じです。
しかし、子犬の頃から様々な犬と出会い、多くの人間と接し、様々な物を見たり聞いたりした経験のある犬ならば、同じような状況でも、むやみに警戒することなく社会的なふるまいをすることができます。
心の余裕が違うのです。
誰とでも仲良くできる
子供は突然大声を出したり、急に走り出したり、荒っぽい力加減など、犬にとっては苦手な要素をたくさん持っているからです。
犬は子供が苦手です。
社会性のある犬は子供にも免疫があるため、びっくりすることなく対応することができてしまいます。
多くの他人が触れてくることがあっても大丈夫です。
どこに行っても家族以外の人や犬に対して、友好的な態度を取ってくれる犬は、連れていっても迷惑をかけることはありません。
生活がスムース
私たち人間との生活はさまざまな刺激であふれています。
多くの経験を経た犬は、精神的な安定があるため些細なことで動じない犬になります。
- 大きな物音に対して吠えることがなくなる
- 他人やよそ様の犬にたいして吠えたり、咬んだりしなくなる
- 留守番することに過剰なストレスを受けなくなる
ことあるごとに大騒ぎしたり、吠え続けたりされてしまうと私たちの生活にも不便さを感じてしまいます。
どっしりと落ち着いた犬との生活は、やはりスムースではないでしょうか?
社会性を養うためには
犬は生まれてから最初の1年目で、特に急速に成長するため、1歳になるころには人間の17歳に相当します。
生まれてから半年くらいが社会性を身につけるのに最適な期間となっています。
この時期に母犬や兄弟とじゃれ合い、噛みついたりして力加減を学び、遊びの誘い方を勉強したりと大切なコミュニケーション力をつけています。
しかし、私たちが一緒に暮らす場合、母犬も兄弟もいません。
そのため、飼い主さんが社会性を養うため、積極的に愛犬が経験を積めるようにしてあげることが必要です。
多種多様な経験が強い精神を育てるのです。
生活音に慣らす
人間のライフスタイルには、犬が苦手な音がするものがたくさん登場します。
掃除機などはその代表的なものですね。
第一歩は、生活の中心である家の中のモノや音に慣らしていきましょう。
家の中はさまざまな音があります。
例えば下記のようなもの
チャイム
来客の際に音が鳴りますが、犬はすぐ覚えるので吠えながら玄関まで走っていったりします。
電話
急になるのでびっくりして吠えたり、怯えたりする。
掃除機
逃げ惑う犬や掃除機のヘッドに攻撃したり、掃除がなかなか進まなくなる。
ドライヤー
これが苦手だとシャンプーした後、乾かすことが困難になります。
子犬のうちになれさせよう。
このように私たちはさほど気にしていない音はたくさんあり、また使わないという選択肢は難しいモノがほとんどです。
これらの家庭内にある物音に対して過剰な反応を防ぐために、避けるのではなく、慣れさせてストレスを感じさせないようにしましょう。
外でいろんなことを経験させる
窓から外を眺めさせるだけでは社会性は身に付きません。
犬は勝手に外に出られないので、飼い主が連れ出してあげて外で新しい刺激を受けて、それを克服することで恐怖や警戒の対象を減らしていきます。
体験してこそ身につくのです。
行きかう車やバイクを抱っこしてそばで体感させたり、あえて駅前など人通りの多い場所も積極的に経験させます。
車やバイクの音、突然聞こえるクラクションなど、音に慣らすことは大切です。
屋内飼育の場合でも、子犬の頃から積極的に外に出る機会を作ってあげる必要があります。
他人と出会う
見知らぬ人と触れ合うことも大切です。
できるだけ多くの人と出会い、接することで多くの経験を積むことができます。
それにより、過剰な警戒心や無駄吠えなどにのちのち効果を発揮します。
ポイント
愛犬に声をかけてくれる人がいたら、ご褒美をあげてくれるように頼んでみましょう。
人との出会いは楽しい、良いことがあるとイメージづけてあげましょう。
他の犬に合わせる
出会ったことのない犬との交流も非常に重要です。
はじめは見せるところから始めて、慣れてきたら直接合わせるようにしましょう。
相手の犬は、しつけの行き届いたおだやかな成犬を選ぶようにしましょう。
他の犬にほえるクセがある犬
「おすわりを命じる」
他の犬に吠えるクセがある犬は、他の犬が見えたらおすわりするように指示しましょう。
おすわりをしていると、向こうの犬は安心感があるため吠えてたり、攻撃するようなことはありません。
こちらも吠えずに他の犬をやり過ごすことができたら、たっぷりとほめてあげましょう。
そうすることで犬は
「おすわりして大人しくやり過ごすと褒められる💛」
このように学習します。
ひとりでいることに慣らす
外出するときは留守番、また家の用事がある場合にはハウスの中でおとなしく過ごせるようにしておくようにしましょう。
可愛さからいつまでも相手をしていると、必要以上に家族に依存するようになってしまうからです。
留守番をさせ、家族がいるときもハウスの中でひとり過ごす時間を作り、ひとりで過ごしても平気なようにします。
まとめ
社会性のある犬は、どんな人にも友好的に接することができて、他の犬とも仲良くすることができます。
動揺したり、びっくりしたりといったストレスにも強くなるため安定しています。
犬に豊富な社会経験をさせると安定した精神をはぐくみます。
その経験は犬の生涯続くことになります。
警戒心がうすく、急速に成長している子犬のうちから経験させるのが最も効率が良いと言えるでしょう。
もちろん、成犬になってからでもしつけは可能です。
あきらめずに、多くの経験をさせるようにしましょう。
室内犬でも、社会経験は必要
動物病院やトリミングなど、人や犬と出会うことは避けられません。
毎回震えながら行くよりも、嬉しそうに外出してくれるほうが私たちも気分が違います。
全ての犬に多くの経験が必要であり、箱入りにしておくメリットは犬にも飼い主にもありません。