噛まれて感染したら絶対死ぬ!あの海外ドラマみたいな感染症

治ったと思っていた1カ月前の、ふさがったその傷口は、ズキズキとした痛みがありむずがゆく感じる。

しばらくすると、頭痛や発熱、倦怠感といったインフルエンザのような症状に襲われた。

こうしている間にもウイルスは増殖を続け、神経系へと侵入を進めているのだ。

 

ある日、水を飲もうとするがのどに痙攣が起こり、痛みの記憶から水を恐れ触れようとしなくなるだろう。

また、風を恐れるようになる。
冷たい風、空調の風ですら避けようとするだろう。

 

ウイルスに侵されたものは、意識障害が起こり日に日に悪化し、錯乱、幻覚に襲われ、興奮し攻撃性をあらわにする。

 

気をつけなければならない。
感染者の唾液にはウイルスが含まれている。

噛まれた者 = 感染者

となってしまう。

 

数日後、感染したものは全身の痙攣と不整脈、臓器不全などが起こり、昏睡状態へとおちいり呼吸を停止する。
突然死にいたる者もいるだろう。

 

注意ポイント

これはゾンビが出てくるドラマの説明ではありません。
狂犬病にかかってしまった場合の人間の症状です。

 

狂犬病とは?

狂犬病は狂犬病ウイルスに感染することで発症する感染症です。

人類との歴史は長く4000年前から狂犬病の存在は確認されていました。

比較的大きめのウイルスで弾丸のような形をしています。

大きく分類するとインフルエンザや麻疹(はしか)などと同じような部類になります。

 

狂犬病の怖さ

致死率が高いうえ治せない
狂犬病の一番の恐ろしさは
致死率100%
であることです。

現段階では特効薬は見つかっていないため、発病した動物はほぼ確実に死亡します。

「最も致死率が高い病気」としてギネス世界記録に記録されるほどである。

 

感染動物か幅広い
狂犬病という名前ですが、犬、猫、コウモリなどを含む野生動物だけでなく、人間を含めたすべてのほ乳類に感染する可能性があります。

 

 

世界中にまん延する狂犬病

  • 日本
  • オーストラリア
  • イギリス
  • 台湾
  • ハワイ等

これらの国以外では未だに根絶できておらず、狂犬病がない国はほんの一部の国だけなのだ。

狂犬病は全世界で毎年5万人ほどが死亡し、それ以上に動物が数十万匹死亡しています。

 

日本では1950年に狂犬病予防法が施行されたことで、狂犬病は1957年以降、発生していません。

 

感染ルート

狂犬病の多くは噛まれることによって感染します。

狂犬病ウイルスは唾液腺にたまっていて、感染した動物に噛まれると傷口から唾液を通して侵入してきます。

そのため、すでにある皮膚の傷口から侵入されたり、目や唇のような粘膜を舐められた場合にも感染の可能性があります。

 

 

愛犬が狂犬病になったらどうなる

愛犬が狂犬病になってしまったら大変だ。
感染するとどんなふうになってしまうんだろう?

 

潜伏期間から発病まで

感染した動物に噛まれたりして、感染してから2週間~2か月の潜伏期間を経て発病します。

傷口はすでにふさがっているが、咬まれた部分をむずがゆく感じます。
そのため舐めたりするようになります。

 

性格の変化と異常行動
ウイルスによって性格に変化があらわれ、異常な行動が目に付くようになります。
そのため明らかな異変を感じます。

何かに怯え不安そうにし、興奮し反抗的です。

  • ウロウロ歩き回る
  • モノに噛みついたりする
  • 無意味に穴を掘る
  • 遠吠えする
  • 暗闇に隠れる
  • ヘッドプレッシング(頭で壁を押し続けているような行動)

このような異常行動がみられ、食欲はあまりなくなります。

 

ウイルスは徐々に進行しマヒが末端から始まり、次第に脳へと近づいて行きます。

このあとの症状は「狂操期」と「まひ期」の2種類に分かれます。

 

狂操型

狂犬病の名前の由来ともいえる状態で、非常に興奮しており、目に入るものはすべて噛みつく攻撃性があり、特に音や光にきわめて敏感に反応を示します。

喉の筋肉がマヒするため、よだれが出続けています。
顔つきも険悪です。

ふらふらとした足取りで無意味に徘徊を続けます。

また、木の枝や土などを食べたりする行動が見られます。

 

数日後

このような狂暴な期間は3~4日続くと、その後、今までの症状は見られなくなり、次第に全身にマヒがあらわれ歩くこともままならなくなり、座った状態でもうろうとします。

徐々に衰弱し、昏睡状態へとおちいり最終的には死亡します。

ただし、この期間がもっと短く、すぐにマヒが始まる場合もあるようです。

 

 

マヒ型

狂犬病では狂躁状態にならずにいきなりマヒ型になる稀なケースもあります。
初期段階からマヒが見られ、急激に全身に進行していきます。

そのため歩くことはできず、口や下あごを支える筋肉がマヒするので口を開けたまま、唾液を飲み込むこともできず、口の外に舌が垂れたままになります。

むせるような音、声がする。
のどになにか詰まったような声をだすため、人間が異物を取り除くために手を出して感染したりする。

このときに噛まれたり、唾液が傷口に触れたら危険である。
もちろん異物などつまっていない。

 

このような状態が続き、いずれ昏睡状態に陥って死亡します。

 

治療法 犬の場合

発病した犬は治療は行わず、感染拡大を防ぐため殺処分となります。

狂犬病は特効薬が見つかっておらず、一度発病してしまったら有効な治療法はありません。
発病したらどの動物もほぼ100%助からない。

 

治療法 人間の場合

入院することになるが、対処療法のみ行われ、根本的な治療はされない。

治す薬は未だ見つかっていないからだ。

そのため発症すれば間違いなく死亡する。

 

しかし、

  • 感染したかもしれない
  • 潜伏期間かもしれない

という場合にはまだ可能性はあり、対処することはできる。

 

狂犬病が疑わしい動物に噛まれたら

 

発病前にできる対策です。

1.傷口を洗浄、消毒。

2.人狂犬病免疫グロブリンというものを注射する。

3.狂犬病ワクチンを5回接種します。(初日、3、7、14、30日目)

それでも発病して死亡する場合もある。

 

そう!基本的には絶対咬まれたらダメ。

 

狂犬病の予防接種

日本では狂犬病が見られないのは島国であることと犬への予防接種の徹底のおかげです。

狂犬病は人から人への感染はしないため、島国である日本では他の国から狂犬病が入りにくくなっています。

また、感染した犬に人間が噛まれて感染するケースがほとんどです。
そのため、犬の予防接種を行うことが非常に有効で感染拡大を予防しています。

 

年1回が義務

狂犬病は狂犬病ワクチンを注射することで予防できる。
しかし、感染しないということではなく、発症しないようにできるものです。

日本では年一回の狂犬病予防の注射は義務になっています。
子犬は生後91日から注射できます。

 

注射済票

狂犬病の注射をすると毎回もらえるプレート

狂犬病予防の注射を受けたことを証明するものです。
飼い犬につけておく必要があるらしい。

 

ちなみにプレートの色は毎年変わる

青 ⇒ 赤 ⇒ 黄 ⇒ 青に戻る

プレートの色を見れば、その年注射しているかわかってしまう。

 

愛犬を登録する

狂犬病の注射と一緒に犬の所有者を登録します。

飼い犬ごとに登録番号がついており、番号から飼い主の情報がわかるようになっています。
狂犬病が発生した場合に、即座に対応できるようになっています。

 

鑑札と注射済票をつけよう

狂犬病の注射の際に多くは畜犬登録されると思いますが、手続きをすると「鑑札」というプレートがもらえます。

保健所や動物愛護センター、警察などに愛犬が迷子などで保護されたとき、この番号からあなたを探し出すことができるので、連絡が来るようになります。

大きさは100円玉くらいの幅で、首輪につけていただきたいようです。
薄くて軽い作りになっていますね。

ぜひ、つけておくのをおすすめします。

 

 

多種多様なデザイン

なんと、鑑札と狂犬病注射済票は、お住いの市町村で異なるのである。

規定範囲内のデザインなら自由となっております。
もちろん、私たちに選択権はありません!

私の市は、古いデザインのまま・・・東京都がうらやましい。

 

材質まで違う

プレートは材質まで異なります。

  • ステンレス
  • アルミ
  • 真鍮
  • ポリエステル
  • プラスチック

様々な材質で作られており、なんとステンレスつや消し加工している地域もありました。

可愛いとつけたくなるし、可愛くないとつけたくなくなるこれらのプレート。

でも、ちゃんとつけてください。

 

各地のデザインが見れます。

厚生労働省の鑑札のページ

 

まとめ

日本のようなほんの一部の国だけが根絶できていますが、世界では狂犬病は未だになくなっていません。
そのため世界では多くの死者を出しています。

 

狂犬病は発症すれば犬は狂暴化し、目に入ったものに噛みつき、噛まれた生き物は感染してしまいます。

また、その致死率は100%というゾンビ映画の原案じゃないかと思うほど、恐ろしい病気です。

愛犬に感染が確認された場合は殺処分なので、助かることはありません。

しかし、恐れることはありません。
ちゃんと愛犬に狂犬病の注射を毎年受けさせれば予防することができるからです。

 

日本では狂犬病を60年以上阻止できています。
飼い主ひとりひとりの努力といえるものです。

今後もしっかりと予防接種に連れていきましょう。

 

-犬の知識