私たちは子供の頃にさまざまな種類の予防接種を受けてきました。
これによって、命に関わる病気や重篤な症状があらわれる病気を回避してきました。
犬にも同じように予防できるワクチンが存在します。
予防接種を受けておけば、危険な病気にかかるリスクを大幅に減らすことができます。
ワクチンとは?
生き物の体にはウイルスや細菌が侵入して、感染症にかかると再び同じウイルスが来た時に攻撃できるように、体の中で抗体というものが作られます。
この仕組みを免疫と呼びます。
ワクチンはこの免疫のしくみを利用したものです。
毒性を弱めたウイルスや死んだウイルスを体内に直接入れることで、体に抗体を作らせることができます。
ワクチンのすすめ
予防接種のワクチンを注射すると、免疫ができます。
その結果
- その病気に感染しにくくなる
- 感染しても症状が軽くなる
リスクを回避できる
愛犬が苦しむ病気にかかる可能性が大幅に減ります。
それを見ている飼い主の精神的な負担も予防することになるでしょう。
費用対効果
ワクチン接種はお金がかかりますが、病気にかかってしまった場合の医療費はさらに大きくなります。
結果的にいえば最終的には予防接種をした方が安く済みます。
ワクチンで防げる主な病気
犬のワクチンで予防したい病気には3つの特徴があるものです。
- 人にうつる病気
- 致死率が高い病気
- 伝染力が高い病気
これらの要素がある病気は、非常に有害なので予防接種を推奨しています。
狂犬病
- 人にうつる
- 致死率が高い
- 伝染力が高い
狂犬病はめちゃくちゃ危険な感染症です。
すべてのほ乳類に感染する可能性があり、発病すると狂暴になり噛みつきます。
噛まれると唾液からウイルスに感染してしまいます。
特効薬が未だに見つかっていないウイルスであり、人も犬も感染したらほぼ100%死亡する病気です。
そのため、感染した犬は隔離し、安楽死させるルールになっています。
危険な伝染病なので犬を飼う場合には、法律によって年1回の予防接種が義務付けられています。
ジステンパー
- 高い伝染力
- 致死率が高い
ワクチン未接種の犬が感染すると咳やくしゃみ、発熱などの症状の後、重症化すると肺炎や脳脊髄炎などを引き起こします。
危険性が高い感染症と言えます。
パルボウイルス性腸炎
- 致死率が高い
激しいおう吐や下痢、血便などを経て1~2日程度で死亡する病気です。
生後1週間以内に感染した場合は、心筋炎になる場合もあります。
イヌ伝染性肝炎
- 伝染力が高い病気
40℃以上の高熱や腹痛、下痢、おう吐などの症状を引き起こす病気です。
1歳以下の子犬では致死率が高く、神経症状を招くこともあります。
伝染性咽頭気管支炎
- 伝染力が高い
感染すると犬が乾いた咳をしたり、鼻水を出す症状が見られます。
感染力が高く、まれに肺炎の原因になります。
レプトスピラ感染症
- 致死率が高い
感染するとおう吐や下痢、発熱、黄疸などの症状が見られます。
川や湖、他の動物の尿などから感染し人間にもうつります。
さまざまな型が存在します。
コロナウイルス感染症
- 致死率が高い病気
- 伝染力が高い病気
激しいおう吐や下痢などを起こす胃腸炎の原因となります。
伝染力が強く、パルボウイルスとの合併症を起こすと、死亡する可能性が高くなります。
ワクチンの種類
ワクチンはほとんどの場合、混合ワクチンになっています。
一度の接種でたくさんの種類の予防接種ができるように、混合してあります。
狂犬病だけは法律によって接種を義務付けられています。
人間にも非常に危険なウイルスだからです。
その他は混合ワクチンで
5・7・8・9種とワクチンの種類は他にもたくさんありますが、代表的なものはこのようなものです。
狂犬病
生後91日以降、30日以内に摂取しましょう。
その後は、一般的には年に1回、4~6月は狂犬病予防接種の時期です。
混合ワクチン
基本の5種混合
- ジステンパー
- パルボウイルス
- イヌ伝染性肝炎
- 伝染性咽頭気管炎
- パラインフルエンザ
都会で暮らす室内犬なら、ネズミや牛との接触もほとんどないので5種でも問題ないでしょう。
7種混合
下記のような条件によっては、7種以上の予防接種がおすすめです。
- 田舎に住んでいる
- 家畜と一緒に生活してる
- 自然に連れ出したりする機会が多い
- 狩りに行く
7種以上の混合ワクチンからは、レプトスピラ症のワクチンが混合されています。
上記の基本5種にプラス2種です。
- レストスピラ症 コペンハーゲニー型
- レストスピラ症 カニコーラ型
これは、ネズミや牛のフン尿などから感染する可能性があるためです。
8種混合
- レストスピラ症 コペンハーゲニー型
- レストスピラ症 カニコーラ型
- 犬コロナウイルス
プラス 基本の5種
9種混合
- レストスピラ症 ヘブドマディス型
- レストスピラ症 コペンハーゲニー型
- レストスピラ症 カニコーラ型
- 犬コロナウイルス
プラス 基本の5種
ワクチンの副作用
予防接種には稀にですが、副作用が起こることがあります。
1万頭に1頭ほどの確率でアナフィラキシーショックが見られ、おう吐などの異常が起こる場合があります。
急激な血圧低下により死亡することもあります。
アナフィラキシーはアレルギー反応です。
異変がおこったら動物病院に連れていきましょう。
ポイント
予防接種のあと、30分ほど動物病院の待合室で待機するのも良いでしょう。
異常があったとき即座に対応できます。
また、摂取してから5~6時間ほどで顔の腫れやおう吐などの症状がでることもあります。
摂取後は安静にしておいた方が良いでしょう。
ワクチン接種はいつ受ける?
子犬は産まれたときには、母乳から母犬の免疫力を受け継ぎます。
そのためしばらくは免疫力を持っています。
しかし、その効力はずっと続かないこと、母犬の免疫が切れる時期は個体差がある、免疫があるうちにワクチンを打っても排泄されてしまう。
このようなことから、生後8~16週あたりにワクチンを接種すれば、新たな免疫を獲得して病気を防ぐことができます。
混合ワクチンは3回摂取することで万全を期します。
- 1回目 生後 8~9週
- 2回目 生後12~13週
- 3回目 生後15~16週
その後は1年おきに1回行います。
注意ポイント
ワクチンを接種してもすぐには免疫ができません。
2回目の予防接種から2週間程度は感染に気を付けましょう。
この時期に、不衛生な場所で遊ばせることは避けるようにしましょう。
まとめ
ワクチンを接種することでさまざまな病気を予防することができます。
予防接種で取り上げられている感染症は、どれも重篤な症状が起こったり、後遺症が残ったりするような凶悪なものばかりです。
愛犬に注射を受けてもらうことで、健康を守ることができて、彼らが苦痛を受けることもありません。
また、私たちも苦しむ愛犬の姿を見るのは想像以上に辛いことです。
病気で入院や手術となれば、健康保険のない治療を受けるわけですから、お財布事情にも影響します。
ワクチン接種を積極的に獣医師に相談して、感染症から身を守りましょう。