犬もオスとメスによってそれぞれ持ち合わせた本能や性格からくる傾向が異なります。
オス犬ってどんな性質や行動をするのでしょうか?
知っておくと飼う時にオスまたはメスにするかの判断基準となるでしょう。
好奇心が旺盛
野生時代の犬は成犬になると群れを作るために、新しい場所へと移動する暮らしをしていました。
犬のオスはそういった名残から
- 始めて見るもの
- 新しい場所
に興味を示す傾向にあります。
お散歩もちょっと違うコースにしてあげると、いつもと違う風景、ニオイ、音などで好奇心が刺激されストレスの解消になります。
噛むのが大好き
かつて犬のオスは狩りをして獲物を捕らえたり、縄張りを争ったりしてきました。
そのため、構造的にオス犬はあごを動かす筋肉が発達しているため、咬む力は強くなっています。
また、咬むことが好きな傾向にあります。
これは本能からくる性質なので、犬用のガムを与えるなどして解消してあげると、家のモノを破壊したり、いたずらが減らせるかもしれません。
新しいおもちゃも大好きです。
おしっこが飛び散る
オスは縄張り意識が強いので、おしっこをかけてニオイを付けることで自分の縄張りで存在をアピールします。
そのため、お散歩に行けば散歩コースでは、おしっこを小出しにしてかけて回ります。
また、極力高い位置にかけたいので足をあげて飛ばします。
これは家の中のトイレでも言えることなので、オス犬の場合は室内のトイレでおしっこが飛び散りやすい傾向にあります。
壁に寄り添うL字型のトイレやペットボトルにトイレシートを巻いた柱を立ててあげると少しマシかもしれません
散歩中のマーキング
オス犬は「マーキングがしたくて散歩に行く」と言うのが欲求の半分と言えるかもしれません。
ですが飼い主的には、
「よそのお宅の近くにおしっこをひっかけまくる行為」
はどうにも気が引けるものです。
お家でオシッコをさせてから散歩に行くことで、膀胱内の尿を減らしマーキングの回数を減らすことができます。
運動能力が高い
オス犬はメスよりも骨格が大きくて筋肉が発達しています。
それに伴い運動能力も高い傾向にあります。
有り余る力や体力、運動能力を発揮したい欲求などを満たしてあげないと、犬の個性にもよりますが、やんちゃになるかもしれません。
散歩の時間や回数、ドッグランの利用など高い運動能力を発揮できる環境があることが理想です。
ただし、遺伝的に関節が弱かったり、前足に負担がかかりやすい傾向にある犬種は全力を出させない方が良いかもしれません。
元気が良く興奮しやすい
オスは狩りを行っていた名残からでしょうか、いつでも獲物に向かうことができるように、メスよりも元気があってテンションが上がりやすい傾向があります。
遊んであげるときも注意が必要です。
ときには周りが見えないときがあるので、ケガをしたり、モノを破壊してしまうことがあるので飼い主さんが適切な場所とタイミングを見計らうようにしましょう。
室内でのスリップなどは注意が必要で、骨折したり、爪が割れたり股関節の負担になったりします。
また、興奮して大きな声を出すこともあります。
発情期はメス次第
オスには発情期というものがありませんが、発情期のメスのフェロモンを嗅ぎ取ることができるためで、嗅いだらスイッチが入り発情してしまいます。
犬の嗅覚は人間の1000万倍から1億倍と言われており、私たち飼い主が気づかないほど距離があったとしてもメスに感づいてしまう可能性があります。
そういったときに普段大人しい犬でも突発的にリードを引っ張ることがあります。
また、発情期のメスのニオイがする場所を見つけた場合、かなりしつこく嗅ぎ続ける傾向があります。
メス犬の発情期
発情期には季節性があり、一般的には春と秋の年に2回とされており、半年おきに発情期を迎えるとされています。
ですが、冷暖房完備で室内で暮らす現代の犬に季節感はなく、季節性があるとは言えなくなっていると考えられます。
オスはいくつになってもフェロモンを嗅ぐと発情してしまう性質があります。
オス犬が注意したい病気
オス特有の病気があるためあらかじめ注意したいところです。
潜在精巣・睾丸停滞
病気というよりは遺伝性疾患のひとつです。
生まれてすぐのオス犬は精巣が腹腔内にあり、生後数か月すると陰嚢(玉袋ですね)に移動します。
本来移動する精巣が両方又は片方が腹腔内や鼠径部にとどまってしまう状態です。
生後6ヶ月までに移動しないなら睾丸停滞です。
精巣は温度が低くないと精子を製造できないので、おなかに残ってしまった精巣は精子を作ることができません。
- 両方とも停滞してしまった場合:子供を作ることができなくなる
- 片方が停滞:精子の数は少なくなるが妊娠させることが可能
また、おなかに残ってしまった精巣は中年以降に腫瘍化する可能性が高い。
精巣腫瘍
生殖器である精巣、タマタマであるがココに腫瘍ができる恐ろしくて悲しい病気
睾丸が腫れていることで気が付きます。
治療としては腫瘍化した精巣を外科手術で切除することになってしまいます。
睾丸停滞の犬の場合、精巣腫瘍のリスクが10倍以上になる。
ポイント
- 5~6歳以上の犬
- 去勢していない犬
陰茎包皮炎
チンチンを包む皮の部分が細菌に感染して炎症を起こして、先端から膿がでる病気。
抗生物質を投与して、患部を洗浄したりします。
痛みが生じるのでしばしば舐めるようになって、黄色い分泌物がよく出るようになる。
こういった異常が見られたら獣医師に見てもらうようにしよう。
前立腺肥大
人間でもよく聞く病気ですが、前立腺は膀胱からの尿道と精液の通り道のちょうど分岐点あたりになります。
尿道まわりにあるオスだけがもつ臓器です。
この前立腺が腫れて尿道を圧迫してしまう病気。
発症するとおしっこの量が減ったり、出にくかったり血尿が出たりといった症状が見られれる。
ホルモン剤を投与したり、去勢したりといった治療になる。
ポイント
- 去勢していない6歳以上のシニア犬
肛門周囲線腫
肛門の周囲にある分泌腺に腫瘍ができる病気。
肛門周りにイボや腫れ、しこりなどができる。
いわゆるガンなので悪性の場合、転移が速いため早期発見がかなり重要なので異変を見つけたらすぐに獣医師の診察を受けたい
治療としては切除してもらう必要がある。
ポイント
- 去勢していない6歳以上のシニア犬
会陰ヘルニア
肛門の両脇にある筋肉がゆるむことで、膀胱や腸管などの臓器が肛門から押し出されてしまう病気。
筋肉がゆるむ原因としては男性ホルモンが関係している。
肛門周りが腫れたり、排便が困難になったりといった症状が見られる。
外科手術ででてきた臓器を戻す治療が必要となる。
ポイント
- 去勢していない5~6歳のシニア犬
去勢手術について
去勢手術はオスの場合は精巣を手術によって取ってしまいます。
メリットとデメリットがあり、戻ることができないので大きな決断と言えます。
メリット
去勢手術による最大のメリットはオス特有の病気が確実に予防できます。
男性ホルモンが成熟する前に行うことで予防できるので、手術の最適な時期は生後6ヶ月~1才までとされています。
去勢すると精巣で作られる男性ホルモンが分泌されなくなるので、オスらしさは減り、攻撃性の低い性格のおだやかな犬になります。
なわばり内で他のオスにあったときにケンカにならずにすみやすい。
オス特有の行動が押さえられる
- 足をあげておしっこをかけるのマーキング
- 発情期のメスへの興奮が少なくなる
- マウンティングが押さえられます
マウンティング
マウンティングは他の犬に前足を乗せて腰を振る行動ですが、性的な意味以外でも行います。
- 自分より弱い犬に上であるとわからせるため
- 興奮したとき
- ストレス
マウンティングはぬいぐるみなどにしてしまうこともあり、放置すると陰部が傷つく恐れがある。
こういった病気、マーキング、マウンティングといったものを防ぐことができる。
デメリット
去勢するということは子孫を残すことはできなくなる。
精巣で作られる性ホルモンがでなくなるため、活発さは失われるので運動量が減ることが多い。
その結果、太りやすくなる。
また、本来の性格は変化する。
外科手術なのでそれなりにリスクがある。
全身麻酔のリスク、術後の傷跡の痛みによるストレス、傷跡からの感染症の可能性がある。
現在の人間社会では犬が意図的にメスに合わせないかぎり、生殖行動は行えません。
また、オス犬はメスのフェロモンを嗅ぐことで発情しますが、嗅がなければ発情のスイッチが入ることはない。
これらのことも考えて、去勢手術についてはよく考えるべきである。