犬と雨と10の秘密

天候は毎日同じではありません。
晴れている日もあれば、雨が続く日もあります。

そんな雨の日をワンコはどんなふうに思っているんでしょう?

 

実は濡れても気にしない

基本的には犬は塗れたり、泥水がはねて汚れても気にする感性は持ち合わせていません。
汚れたとは思っていないからです。

野生だったころの犬は、雨が降れば木の下に入るなどして雨をしのいだかもしれませんが、基本的に雨の日は濡れてしまう環境で暮らしていました。

そのため、濡れることへの抵抗は本来あまりないのかもしれません。

 

猫は濡れたくない

犬にたいして猫はちょっと違いますね。
猫のルーツはサバンナのような乾燥した地域です。
そのため、雨が降ることはあまりなかったので、現在でも雨に濡れることは好まない傾向にあります。

 

 

雨の日はまったり気分

雨の日は犬の気分にも影響を与えています。

犬は本来、狩りをして生活していた生き物です。
雨が降るとニオイや音がかき消されるため、狩りの成功率は大幅に下がります。
ゆえに、雨の日は狩りを休み体力の温存を図っていました。

その名残から、犬は雨の日はゆっくり、まったりと過ごす気分になっています。

 

もちろん、雨でまったり気分なワンコもいれば、雨の散歩に興奮を覚えるワンコもいるようです。
犬も人間のように個性があります。

 

犬種によっては雨に強い

犬種によっては水が大好きだったり、水に対して気にしないタイプの犬種もいます。

それらは、仕事として役割を担っていた犬種は天候に関係なく仕事をするため、雨に強い犬種であることが条件のひとつでもありました。

牧羊犬
牧場などで羊の群れをコントロールする役割をしていた犬、

猟犬
狩りの対象を追跡する仕事をしていた犬

猟犬の中でもウォータードッグと呼ばれていた、撃ち落とした鳥を泳いで取りに行くタイプだった犬種は特に水が大好きです。

 

  • コリー種
  • レトリーバー種
  • シープドッグ種
  • プードル
  • シュナウザー種

 

 

「ダブルコート」濡れない仕組み

犬にとって被毛は、全身を覆っている服のようなものです。
外からの刺激や温度、紫外線、雨などあらゆるものから守っています。

被毛にはダブルコートとシングルコートの2種類があり、その特徴が少し違います。

ダブルコートとは、太くて硬いオーバーコート(上毛)と柔らかくてフワフワのアンダーコートの組み合わせでできている構造です。

オーバーコートに対して、数本のアンダーコートが同じ毛穴から生えている仕組みです。

自然の中で生活していた犬の被毛は、本来ダブルコートだったと言われています。
ダブルコートは2つの被毛があるので、雨風や寒さに強い構造になっています。

 

 

オーバーコート(上毛)

オーバーコートは硬くて丈夫な長めの毛です。
そのため、体を守ったり、紫外線を防いだり、雨風をしのぐための保護毛になっています。

 

アンダーコート(下毛)

アンダーコートは保温性を重視した毛になっています。
そのため、柔らかくてフワフワしており、体温を逃がさないような仕組みになっています。

オーバーコートと同じ毛穴からアンダーコートが何本も生えることでふわふわになり、全身を保温します。

ダブルコートの犬種

  • 柴犬
  • ポメラニアン
  • ゴールデンレトリーバー
  • コーギー
  • シベリアンハスキー

など

ダブルコートは季節の変わり目で、フワフワのアンダーコートを脱ぎ捨てるので換毛期には大量の毛が抜けます。

 

雨は苦手「シングルコート」

シングルコートはオーバーコートがあまり生えておらず、アンダーコート(下毛)がたっぷりと生えているのでほぼ一層構造といえるタイプです。

アンダーコート(下毛)が発達しており、オーバーコートとアンダーコートの中間のような毛の構造で、太さも両方の間くらいになっています。

多くは温かい地域で誕生した犬種なので、寒さに弱く、雨などで水が地肌に届いてしまうため、濡れることを嫌がる傾向にあります。

 

シングルコートの犬種

  • スムースチワワ
  • トイプードル
  • パピヨン
  • マルチーズ
  • ヨークシャーテリア

など

寒さに弱く、雨はじきも良くないので、雨の日はレインコートがおすすめです。
極力濡らさないことが大切です。

 

 

経験や思い出が雨の好き嫌いを決める?

雨が好きかどうかは犬種によっても左右されますが、他にも子犬時代の経験によって好きになることもあります。

雨の日にお散歩に行って楽しい思い出があれば、そのイメージを忘れず雨が好きになることもあります。
当然、逆に嫌な思い出があれば、キライになることもあるので楽しませてあげましょう。

 

犬は雨を予知している

雨粒が乾いた地面や植物の表面などにぶつかると、ニオイの粒子を含んだ気泡がたくさん発生するそうです。
これはエアロゾルと呼ばれて、風に乗って運ばれていきます。

これを吸うと私たちは

「なんだか雨のニオイがしてきた。」

こんな風に雨が降る直前には感じますが、犬はコレをものすごく早く気が付くことが可能です。

 

かなり遠くの雨を察知

犬の嗅覚は人間とは比較にならないほどの鋭敏さです。
人間の100万~1億倍の能力を持ちます。

そのため、私たちが気づくことができないほど、遠くで雨が発生したことを感じ取れます。

嗅覚の1億倍ってどんな世界なんでしょうか?
10倍でも想像ができないのですが・・・・

 

また、ニオイ以外にも鼓膜の奥にある内耳によって気圧の変化を感じ取り、私たちには聞こえない音を聞き取り、遠くから雨が近づいていることを感知することができます。

 

 

 

雨の日のワンコちょっとくさい

雨が降って濡れてしまうとワンコは犬くさいニオイがしませんか?

これは一体なんでだろう。

 

雨の汚れ

雨は透明でキレイに見えますが、実は結構汚れています。
上空の雲で発生したときには、きれいな雨粒ですが、落下してくるまでに大気中のチリや微粒子などの汚れを吸着して落ちてきます。

雨が降った翌日に晴れると、車の窓なんか雨の跡が残ってますよね。
意外と雨は汚れているんです。

 

これが、愛犬の上に落ちると、犬の体温と水分が合わさって、汚れをエサにして皮膚や被毛にいる酵母や細菌が活発になり、増殖することによってニオイの原因物質が生まれます。

これらの原因物質は、揮発性なので大気中に放出されるためそのため、なんか臭うな?と感じてしまいます。

 

アポクリン汗腺

アポクリン汗腺は、特殊な分泌物を出す器官で分泌物を皮膚の常在菌が分解することでニオイが発生します。

これはフェロモンとしての役割を果たしています。

アポクリン汗腺は人間では、脇の下にしか存在しない器官で、ワキガの元となる物質が分泌されています。
犬の場合、アポクリン汗腺は全身に分布しています。

雨に濡れると、皮脂に溶け込んでいたフェロモンが溶けだすため、犬特有のニオイが強く感じられるようになります。

 

 

雨の日は気をつけたい

雨の日に散歩にいくとどうしても足が濡れてしまいます。
水で肉球がふやけると柔らかくなってしまうため、傷つきやすい状態になります。

ワンコがぐいぐい引っ張る形で散歩をしていると、肉球にすり傷がついてしまいます。

飼い主さんの横をしっかりとついて歩くように、しつけができていると安心です。

 

雨の日は異常が起こりやすい

雨の日というのは晴れた日よりも気圧が低い状態になります。

低気圧は脳内の圧力にも影響があり、そのため脳骨髄系の病気の発作が起こりやすくなります。

 

てんかん

てんかんは脳の疾患で慢性的に発作が見られる病気です。

犬が急に四肢を硬直させ、倒れたりします。

筋肉は微かなふるえがみられ、気絶して口から泡をはきます。

尿や便を無意識に漏らす場合もあるでしょう。

てんかんはストレスや天候などが引き金となって、発作が見られることがあります。

 

水頭症

頭蓋骨の中に満たされている「脳脊髄液」の中に脳は浮いています。

この脳脊髄液が増えると、脳に圧力がかかって症状が見られます。

これが水頭症ですが、雨などで気圧が変化すると脳内の圧力にも変化がおこり、症状が起こったりする可能性があります。

 

 

梅雨時には皮膚トラブル

梅雨などは毎日のように雨が降り、一日中ジメジメしています。
こんな日が続けば、愛犬に影響がないはずがありません。

梅雨の時期は雑菌が増殖するための条件がそろってしまいます。

  1. 湿度が高く蒸れやすい
  2. 体温
  3. 皮脂やアカなどの栄養

この3つが愛犬の皮膚の上で揃うことで、雑菌が繁殖しやすくなります。
その結果、皮膚のトラブルが起こりやすくなります。

 

膿皮症

細菌の増殖によって、皮膚が部分的に赤くなり、かゆみが起こります。
この病気はかゆみが強いため、掻きむしって舐めたりひっかいたりしてしまいます。

そのため、掻きすぎて毛が抜けてしまう結果になります。

 

膿皮症の続き

 

皮膚糸状菌症

真菌(カビの一種)が皮膚で増殖しておこる皮膚病です。
顔まわりや耳、肢などの柔らかいところに発疹が見られ、脱毛が起こります。
徐々に進行していき、全身に広がります。

皮膚はガサガサになります。

また、人間の水虫と同じような菌ですので、人間にもうつります。

 

皮膚糸状菌症の続き

 

 

水たまりに潜む危険

雨が降ってできる水たまり、実はただの水たまりではないかもしれません。

水たまりは飲んだり、不用意に入ったりしてしまうと犬にとって意外なリスクが潜んでいたりします。

もちろん、すべての水たまりが危険というわけではありませんが、可能性があることを飼い主として知っておきましょう。

 

寄生虫

水たまりには寄生虫の卵や幼虫が潜んでいる可能性があるんです。

寄生虫は種類によっても異なりますが、卵は地上に落ちてからそのまま卵の状態で食べられるのを待つタイプや、幼虫として土の中で待機しているものなど様々です。

 

水たまりから侵入

これらは、水たまりに入ったとき皮膚から侵入したり、水を飲んだ際に卵を一緒に飲み込んでしまったりして感染します。

寄生虫は成虫になると見てわかるほど大きくなりますが、卵や幼虫は小さすぎて目視で確認することはできません。

そのため、寄生虫に飼い主が気が付くのは多くの場合、便に寄生虫が混じっているのを見てびっくりして発覚するでしょう。

 

子犬の場合、体調が悪くなったり成長が悪くなったりします。
しかし、寄生虫の多くは、犬に異常を感じさせないほど密やかに栄養をいただき、成長し卵を産み落とします。

 

ウイルスや細菌のリスク

水たまりは寄生虫だけではありません。
ウイルスや細菌にも注意が必要です。

ウイルスや細菌は犬や野生動物などが感染していた場合、フンや尿から検出されます。
土や水たまりは汚染されている場合があり、触れたり飲んだりするとウイルスに感染する可能性があります。

予防接種をしておくことが効果的と言えます。

 

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