パグはかなり特徴的なルックスが魅力のひとつですが、繰り返す品種改良によって極端に短くなったマズル(犬の口)や愛らしい大きな目は特徴がある故に不都合が生じる場合があります。
そのため、犬種によってかかりやすい病気というものが存在します、
パグは基本的には丈夫で寿命はおよそ12~15年といわれています。
また、雄雌の差はありません。
脳の病気
パグ脳炎
正式には「壊死性髄膜脳炎」という病気ですが、パグに多く発生する傾向があるためパグ脳炎などと呼ばれています。
脳全体に炎症が起こり、壊死したりするので脳の機能が失われます。
運動障害や食欲不振、失禁、昏睡などが見られます。
原因がわからないので治療法はなく、徐々に脳を進行していく。
進行は早く、数日から数週間で死に至ることも。
多くは一年以内に死亡します。
水頭症
水頭症は先天的な異常によるものが原因と考えられる病気で、パグで多く発生する傾向ある病気のひとつです。
頭蓋骨の内部には脳室という空間があり、そこは脳せきずい液という透明な液体の中に満たされています。
水頭症はこの液体の量が増えてしまう病気で、その影響で脳が圧迫されてしまいます。
その結果、圧力を受けている脳の部分によって、担っている機能が低下します。
歩き方がぎこちなくなったり、身体がマヒしたり、痴呆になったりと様々です。
疑わしい症状を見たら、早めに獣医師に相談しましょう。
眼病
眼球が飛び出る
パグは見た目からわかるように、少し眼球が前に出ています。
これは眼球がはまっているくぼみの部分、眼窩(がんか)が浅いためです。
その影響から
- 頭部に強い衝撃を受けたとき
- 眼球の奥に腫瘍ができたとき
このような状況になった場合、眼球が飛び出てしまうことがあります。
飛び出し具合にも程度があります。
- まぶたが閉じられないくらい
- 目の位置から目玉がぶら下がってしまうほど
慌てて飼い主さんが戻そうとするのは良くありません。
眼球の乾燥を防ぐために、生理食塩水や水道水で湿らせた布で顔を覆います。
眼球が長い間脱出していると表面が乾燥したり、眼球全体が壊死する可能性があります。
そのため急いで獣医師に見てもらう必要があります。
緑内障
緑内障は目の内部の圧力が上がって、視神経が圧迫される病気です。
軽度の場合には特に症状があらわれませんが、進行すると痛みを感じるようになります。
進行すると完治しにくく、放置してしまうと最終的に失明することもあります。
こんな症状を見かけたら
痛みがあるため行動やしぐさに変化が見られます。
- 目をするような仕草
- まぶたの痙攣
- 頭を触ったら痛がる
- 犬の目が緑や赤に見えることがある
早期発見が大切なので、これらの異常が見られたら獣医師に相談しましょう。
角膜に関する疾病
パグは目が大きく、飛び出し気味であること、短頭種なのでニオイを嗅ぐ際にも眼球との距離が近くなることなど目を傷つけやすい条件がそろっています。
眼球の一番外側の組織、角膜の病気になりやすい傾向にあります。
角膜炎
角膜が炎症を起こしている。激しい痛みがある
色素性角膜炎
まつ毛で角膜が擦れてその部分にメラニン色素が発生する
乾性角結膜炎
ドライアイの状態、目が赤くなったり、目ヤニがひどくなる
角膜潰瘍
角膜の一部に潰瘍ができる。
悪化すると失明する。
などなど・・・
目の病気はたくさんあるため注意が必要です。
呼吸系
パグは口が短い分だけ軟口蓋が余って分厚く長くなっています。
これが邪魔なため、呼吸がしにくく軽い運動でもすぐ息が上がり、荒い呼吸をします。
また、いびきの原因でもあります。
パグは短頭種という部類の犬です。
短頭種とは、本来は口の長いタイプの犬の口を品種改良によって短くしたものです。
短頭種とは骨が短くなっただけで、軟口蓋という部分は普通の犬と変わりません。
軟口蓋は私たち人間の「喉ちんこ」が付いている柔らかい部分、上あごの硬いところが硬口蓋です。
犬には喉ちんこはついていません。
私たち人間にはなんであるんだろう・・・
いびき
パグは鼻先が短く呼吸が浅いため、いびきは頻繁に見られます。
これもまた軟口蓋が原因で、この部分が長いと気管の方に垂れ下がり、呼吸の際に震えることでいびきの音が出ます。
遺伝的な身体的特徴なので病気とは言えません。
しかし、あまりに激しいいびきの場合や呼吸困難を起こしているようなら異常があると考えなければいけません。
軟口蓋過長症
この場合起きている状態で呼吸が苦しくガーガー音がしたり、ハアハアと荒い呼吸をするようになります。
私たちの喉ちんこが付いている柔らかい部分、これが長すぎるため呼吸が苦しくなっています。
寝ているときなど気道を蓋してしまうため、大きな音のいびきが聞こえるようになります。
しっかり治すには、手術で「長すぎる軟口蓋をカットする」という方法がとられます。
若いうちに行うほうが効果があるようです。
逆くしゃみ
逆くしゃみとは、鼻から連続的に空気を吸い込む発作のような呼吸です。
急に苦しそうに鼻を鳴らし、のどの奥だけで呼吸をしているしゃっくりのような状態でおう吐しているように見えます。
多くの場合は1~3分程度で自然におさまります。
原因は良くわかっておらず、何度も繰り返し起こることがあります。
鼻腔内の刺激が原因と思われ、感染症や腫瘍、異物があると引き起こされる可能性があります。
気管虚脱
気管虚脱は気管がつぶれてしまって空気の通りが悪くなり、呼吸がしにくくなる病気です。
遺伝や肥満が原因で、症状別に4段階に分けられ悪化度合いを示しています。
軽度なら投薬で済みますが、重度の場合は手術が必要になります。
特にパグは太りやすいので、脂肪で気管が圧迫されないようにしたいものです。
散歩の際もハーネスで首への負担を減らしましょう。
鼻腔狭窄
鼻の穴が狭い、その奥の通り道が狭かったり、変形しているので呼吸が非常にしにくい病気です。
先天性の場合がほどんどで、苦しそうにします。
鼻からグーグーと苦しそうな音がでて、口呼吸を繰り返します。
少しの運動でも酸欠になりやすく、激しい運動をすると酸欠で舌が青紫になるなどします。
呼吸がしにくいため、夏は熱中症になりやすく注意が必要です。
手術で鼻腔を広げて治療します。
遺伝性疾患
膝蓋骨脱臼
膝の皿が脱臼しやすい
レッグ・ペルテス病
骨盤と足の関節である大腿骨の頭の部分が血行不良で壊れてしまう
口蓋裂
口蓋が裂けているので、口の中と鼻がつながってしまっている
皮膚病
顔にシワが多いことが特徴のパグだけに、シワの部分が蒸れたり汚れがたまったりすると炎症をおこして皮膚病になりやすい。
- 脂漏性皮膚炎
- 膿皮症
- アレルギー性皮膚炎
耳の病気
たれ耳であることやパグの耳の構造から耳の汚れがたまりやすい傾向になります。
清潔にしていないと外耳炎になりやすい。
まとめ
現在のパグの特徴になるまで、品種改良を繰り返して、特徴をどんどん強めて今の姿になりました。
その結果、極端に短くなった口や頭部は遺伝性疾患が出やすくなってしまっています。
太りやすい体質と食べるの大好きな性格は肥満になりやすく、結果的に病気にかかりやすくなっています。
また、病原菌に弱い体質なので、感染症などに特に気をつけたい犬種です。
病気と無縁という確率の方が低いのでやはり備えておくべきです。
- 主治医を見つけておく
- 緊急時に見えてもらえる病院を確認しておく
- セカンドオピニオンを探しておく
このような備えも大切です。
また、あらかじめペット保険に加入しておくといざ手術が必要となったときに大きな助けとなります。
主治医の他にも救急病院やセカンドオピニオンも見つけておいた方がいいでしょう。
ペット保険は大きな病気や手術が必要になったときに経済的な助けになるので、加入を考えておくことも必要だと思います。